フルートの基礎練習・ロングトーンの具体的な方法と注意事項

フルート始め方

フルートの基礎練習と言えばロングトーンです。

私も学生の頃は、もうろうとしながら30分ぐらいしていたものです。

ロングトーンって地味なので、吹きながら寝そうになるんですよね。

でも、ロングトーンって良い音を鳴らすためにはとっても重要なんです!

忙しい中でも「これだけはやっておいた方がいい!」というロングトーンの方法をお伝えします

合わせてこの基礎練習をすると、息のコントロールが柔軟になる、という物があるのでご紹介しますね。

この記事で分かること

  • ロングトーンの仕方
  • ロングトーンで注意すること
  • 合わせてしたい基礎練習

まずは今日のフルートの調子を確かめよう

フルートのレッスンに行っていたころ、最初に吹く音は

でした。

「今日一番きれいな音で!」と言われるのですが、レッスンに来たばかりでいい音なんて出ません。

内心「ええ~・・・無理」と思いながら吹いていました。

それでも最初にこれを吹きましょう。

たとえへなちょこな音でも、「今日の出だしの音はこれだな」と自分の耳でしっかり聞いてください。

フルートを吹く前の基礎練習って大事!

先ほど、いきなり楽器を吹いても良い音は出ないと書きました。

そう!楽器を吹く時は「音だし」と言って、まず基礎練習(略して基礎練)をしないと良い音は出ないのです。

体が楽器に慣れるまで30分ぐらいでしょうか。

息のコントロールの練習を繰り返すことで、楽器を吹く準備ができるのです。

スポーツで言うと準備体操やウォーミングアップに当たりますね。

ここを飛ばしてしまうと、へっぽこな音のまま曲の練習をすることになってしまいます。

では具体的にどんなロングトーンをすれば良いか、実際に私が行っている内容をお伝えします。

フルートのロングトーン1 半音階

このロングトーンはフルートの基礎練習が載っている「ソノリテについて」という本にも掲載されています。

まず、メトロノームは60にセットします。

そして上記のように半音ずつ下がっていきます。

最低音の「ド」までいったら、次は最初に出した「シ」から半音ずつ上がっていきます。

最高音までです

最初は音が出なかったり、きれいにならなかったりしますが、だからと言って練習しなければいつまでたっても鳴らすことはできません。

ここは自分に厳しく、「最低音まで、最高音まで」ロングトーンをするように頑張ってください。

ブレスはできれば8拍に1回。難しければ4拍毎でも大丈夫です。

音の大きさは「メゾフォルテ」ぐらいで吹いてみましょう。

慣れてきたら、最初の4拍は「フォルテ」で、次の4拍は「ピアノ」で吹きます。

音の大きさは下記を参考にしてください。

「ピアノ」だからと言って、気を抜いてはいけません。

弱く吹くためには、しっかり腹筋で支えないと息ばかりのカスカスな音になってしまいます。

フルートのロングトーン2 音程を取る

次に、音程の感覚をつかむロングトーンをします。

こちらは、低音域の「ソ」から始めます。

1オクターブ上の「ソ」をスラーで吹いて、再び低音域の「ソ」へ。

全てスラーでなめらかに吹きましょう

メトロノームは60の速さです。

半音ずつ上げていき、中音域の「ソ」から始まるロングトーンが終わったら、今度は逆バージョン。

高音域の「ソ」、中音域の「ソ」、高音域の「ソ」をスラーでロングトーン。

半音ずつ下がっていきましょう。

出来そうなら、最低音の「ド」を含むまで行います。

ロングトーンの際は、ぜひチューナーを見ながらやってみてください

最初は音程のとれなさにびっくりすると思います。

低い音は低く、高い音は高くなってしまうのです。

でも、「音程が取れてない」ことに気づければ改善できますね!

最初はチューナーを見ながら練習し、慣れてきたらまずはチューナーなしで自分の耳を頼りに音を出してから、チューナーで確認するようにしましょう

「この音はこのぐらい音程が下がる」など、自分の癖が分かると、曲を吹く際にも気を付けて吹くことができます。

参考:マルセル・モイーズ著 吉田雅夫訳「ソノリテについて 方法と技術」,Alphonse Leduc社

フルートのロングトーンをする時の注意事項

ロングトーンをする時に注意したいのは、

  • 音符の長さ
  • 顔の角度を毎回ニュートラルに戻す
  • 姿勢
  • 音が変わる時に滑らかに変わっているか

です。

詳しく見て行きましょう。

音符の長さ

「4拍伸ばす」と聞いたとき、「1,2,3,4!」で音を切っていませんか?

正確には「5」をいう直前まで伸ばして「4拍」になります。

つい短く切りあげてしまいがちですが、気を付けましょう。

顔の角度を毎回ニュートラルに戻す

フルートの音の出だしはいつでも、顔の位置を心持ち上げたニュートラルな状態から、「息を置く」ように、少しだけ顔をうなずくように下げます

少しだけです!

顔を動かさずに息を出すと、「息がぶつかる」ようになってしまい、きれいに音が出ません。

「上から息を置く」ことを意識すると、乱暴な音にならずに済みます。

「顔を心持ち上げたニュートラルな状態から少しうなづくようにして吹く」のは、ブレスごとに行います。

そうでないと、だんだん顔がうつむきがちになり、音が出るベストポジションからずれて行ってしまうからです。

基礎練習の時だけでなく、音を出す時はいつもこの方法で吹き始めましょう

曲の中での吹き始めやブレスを取った後も同じくです。

癖づける意味でも、基礎練習でしっかり取り組んでみてくださいね。

姿勢

ロングトーンをしていると、息が苦しいので、姿勢が崩れがちです。

また、音を出しにくい低音や高音で不要な力が入ってしまうことがあります。

力が入っているな、と思ったら、一旦伸びをするなどして気を取り直してから、再度構えなおしてみましょう

構え方についてはこちらの記事でも解説しています。

フルートの構え方ってこれでいいのかな?と思っているあなた!ここでチェック!

音が変わる時になめらかに変わっているか

スラーで吹く時は、音の変わり目に注意してみましょう。

なめらかに鳴らすには息のコントロールと素早い運指が必要です。

力任せに鳴らさないようにしてくださいね。

フルートのロングトーンに加えておすすめの基礎練習

ロングトーンに加えて、息のコントロールをするのにおすすめの基礎練習もご紹介します。

こちらも「ソノリテ」に掲載されている基礎練習になります。

この練習をやるのとやらないのとでは、「おなかから息を出す」という感覚が全く変わります

下記の1の形で最低音まで、2の形で最高音まで吹きますが、アーティキュレーション(音の表情)を変えて5種類練習します。

  1. タンギングなし、お腹を動かして息の力だけで鳴らす
  2. 舌先を唇に挟んだ状態で準備し、一瞬離して元に戻す
  3. 2音ずつスラーで吹く(パターン1)
  4. 2音ずつスラーで吹く(パターン2)
  5. 全てをスラーでつなげて吹く

楽譜がややこしいように見えますが、それぞれ

  • 中音域のシから下がる半音階の間にシをはさむ
  • 中音域のシから上がる半音階の間にシをはさむ

という形です。

タンギングなし、お腹を動かして息の力だけで鳴らす

最初はタンギングなしで、大げさにお腹を動かして音を鳴らします。

イメージとしては、空気を入れたゴム風船(お腹)をぎゅっと押して(瞬間的にへこませる)空気を出す感じです。

息は鋭い息を意識します。

タンギングのサポートがないので、しっかりした音を出すには、正確な位置に適度な息の量を当てることが必要になります。

息の勢いだけでは音が裏返ってしまうのでご注意ください。

また、音を出す際は1音ずつ、顔をニュートラルに戻すことを忘れないでくださいね。

最低音まで言ったら今度は上昇の形で最高音まで練習します。

舌先を唇に挟んだ状態で準備し、一瞬離して元に戻す

次に一音ずつタンギングで吹きますが、通常のタンギングとは違います。

まず「もう音を出す!」という口の形にしておいて、舌先で唇の間に蓋をしてください。

そこから舌を離した瞬間に音が鳴るようにします。

音が鳴ったらすぐに舌はもとの位置へ戻します。

もちろん顔の位置も先ほどと同じように行います。

始めは綺麗な音にならないかもしれませんが、この練習をしておくと、曲を演奏するときに、出だしの音の美しさに生きてきます。

2音ずつスラーで吹く(パターン1)

次に、先ほどの「唇に下を挟んだ状態でスタート」する吹き方をしながら、上記の1の形で吹きます。

二分音符をしっかり鳴らし、その響きのまま四分音符を優しく置くように吹きます

スラーなので、音の変わり目でタンギングはしません。

四分音符を強く吹いたり、乱暴な音になったりしないように気を付けましょう。

下降の形で最低音まで行ったら、2の形で最高音まで吹きます。

メトロノームで60の速さを目指しますが、最初はもっとゆっくりからでも大丈夫です。

だんだん2つの音が離れていくので、息のコントロールが重要になってきます。

2音ずつスラーで吹く(パターン2)

パターン1と同様に吹きます。

音が離れた2音をスラーで吹くことで、柔軟な息のコントロールが身に付きます

全てをスラーでつなげて吹く

最後にすべてをスラーで吹きます。

息が続かないと思うので、続くところまで吹いたらブレスをして続きから吹き始めましょう。

1の下降音型で最低音まで行ったら、次は2の音型で最高音まで吹きます。

速さは吹きやすい速さで構いません。

最初は高音を鳴らすのに力を入れてしまって、きれいに鳴らないかもしれませんが、腹式呼吸を意識し、毎日練習することできれいになってきます。

参考:マルセル・モイーズ著 吉田雅夫訳「ソノリテについて 方法と技術」,Alphonse Leduc社

フルート基礎練習後のチェック

全ての基礎練習が終わったら、最初の音型を吹いてみましょう。

これですね。

音の質、吹きやすさ、音の伸びやかさなどにおいて、最初に吹いたときと違うのではないかと思います

自分の体も、楽器を吹きやすくなっているはずです。

全て吹いても30分とかからないので、できれば毎回吹き始めに練習できると良いですね。

どうしても時間がなければ最初のロングトーンだけでも大丈夫です。

時間がある時はじっくり基礎練習をしてみてください。

きっとフルートの上達に役立ちます。

まとめ

「これだけはやったほうがいい!ロングトーン」と「フルートのロングトーンに加えておすすめの基礎練習」ご紹介しました。

最初は上手にできなくても地道にこつこつやっていけばできるようになります

「毎回吹くのは当たり前」と、基礎練習をするようにすると良いですね。

ただこなすために吹くのではなく、音程が取れているか、滑らかに音が変わっているかなど、注意する点はたくさんありました。

自分の耳で聴きながら、注意しながら練習すると上達も速くなります

こんな地道な基礎練習が、難しい曲を吹きこなす土台になりますので、少しずつでもやってみてくださいね。

応援しています。

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