フルートは難しい楽器と言われています。
ピアノは鍵盤を押せばだれでも音を鳴らすことができますが、フルートはそうはいきません。
そもそも音を出すのが難しいと言えるでしょう。
他にも「難しい」と言われる理由はあります。
ここでは、難しいと言われる理由と、その対処法について見て行きましょう。
- フルートが難しいと言われる理由
- フルートの難しさへの対処法
- フルートの良いところ
フルートは音を出すのが難しい
フルートは「エアーリード」という奏法で音を鳴らします。
歌口(息を吹き込む穴)のエッジ(穴の縁)に息を当てて、空気の流れを作り、それが音になるのです。
その息を当てる的は1㎝にも満たない幅で、自分では見えない下唇の前にあります。
しかも、リード楽器であるクラリネットやサックスなら、マウスピース(口を当てるところ)をくわえることによって安定しますが、フルートは唇に「当てる」だけ。
どこに唇を置いて、どの向きに、どれぐらい息を吹き込めば良い音になるのかは人によって違うのです。
最初に音が出るようになるまで時間がかかる人もいます。
その一方で、最初から音を出せる人もいます。
どちらにしろ、「良い音」を鳴らせるようになるには練習が必要ですので、最初から音が出なくてもあきらめる必要はありません。
フルートは構えるのが難しい
縦に構えるサックスは、楽器を首から掛ける「ネックストラップ」という紐に引っ掛け、さらに右手の親指を支えの下から構えます。
クラリネットも楽器に付いているつまみのようなものに、右手の親指を下から置き、重力を利用して支えることができます。
ではフルートは?
横に構えているので、重力を利用して支えることはできません。
3点支持と言って、唇、左手人差し指の付け根の下あたり、右手の親指の先、の3か所で前後から押し合って支えているだけなのです。
上図の赤丸のところで支えているのですね。
これは、慣れていても油断すると楽器がくるっと回ってしまうぐらいに不安定な持ち方です。
しかも、腕を上げ続けるので、慣れるまではすぐに疲れてしまいます。
フルートの指使いが難しい
フルートは低音域・中音域・高音域の3オクターブ鳴らすことができます。
低音域と中音域は、指をほぼ順番にあげていくだけなので、指使いはそれほど難しくはありません。
しかし、高音域になると変則的な指使いになります。
しかも、フルートは高音域が演奏によく出てくるのです。
運指を覚えるのが大変なので、「難しい」と言われるのかもしれません。
フルートは息のコントロールが難しい
フルートの低音域と中音域の指使いはほぼ同じです。
でも、鳴る音の高さは1オクターブ違いますね。
これはどういうことなのでしょうか?
管楽器の中には「オクターブキィ」と呼ばれるものが付いていて、それさえ押せば1オクターブ高くすることができるものもありますが、フルートには付いていません。
フルートは息のコントロールにより、同じ指使いで1オクターブ高い音が鳴るように吹いているのです。
低音域の「ソ」を鳴らしたかったのに、1オクターブ上の中音域の「ソ」が鳴ってしまう、ということが起こりえてしまいます。
指使いを覚えると同時に、息のコントロールも習得しなければなりません。
フルートの難しさへ対処法
フルートは
- 音を出すのが難しい
- 構えるのが難しい
- 指使いが難しい
- 息のコントロールが難しい
事が分かりましたね。
でも、どんな楽器をやるにしろ、それぞれの難しさはあります。
そして、それらを克服するには、地道な練習しかありません。
唇の当て方や息の出し方は、毎日ロングトーンをすることで体に覚えさせます。
構え方は、変なところに力が入らないように、鏡を見たり、人にチェックしてもらいましょう。
指使いは練習するうちに自然と覚えてきます。
息のコントロールも然り。
練習していればできるようになりますし、フルートが上達するにつれて「もっときれいな音を出したい」「もっと表現力をあげたい」など、また違う難しさが出てきます。
それが楽器をすることの難しさでもあり、面白いところでもあると思います。
練習するコツがあるとすれば、「楽しんで練習する」ということでしょうか。
普段の練習の中で、楽しみながら続けると、必ずできるようになります。
できるようになると、フルートを吹くのがもっと楽しくなってきますよ。
フルートの良いところ
フルートの難しいところばかり見てきたので、ここからは、フルートの良いところについてあげてみましょう。
力を入れなくても吹ける
フルートを吹く時は、力入れる必要はありません。
強いて言えば、腹式呼吸をするお腹には力が入ります。
でも、サックスやクラリネットのように下唇を巻き込んでマウスピースを咥えることもありませんし、トランペットなどの金管楽器のように口に力を入れることもありません。
そのため、長時間吹いていてもそんなに疲れませんし、年齢を重ねても演奏が可能ではないかと思います。
軽い
フルートは管楽器の中では(ピッコロを除けば)一番軽い楽器です。
フルートを構える体勢は少し辛いですが、楽器が軽いと体への負担は少なくすみます。
楽器を持って移動するときには、楽器、譜面台、楽譜、チューナー、など、意外と荷物が増えてしまいます。
荷物が重いと、レッスンに行くにもおっくうになってしまいます。
フルートはかさばりませんし、専用のケースもデザイン性の高いものなど、たくさんの種類があるので、おしゃれに持つこともできますよ。
コンパクトに収納できる
フルートは組み立てると65㎝程ですが、3分割できるので、コンパクトに収納でき、持ち運びにとても便利です。
ケースにしまうと42㎝ぐらいに収まります。
これも持ち運びにとても便利です。
維持費がかからない
フルートは一度楽器を買ってしまえば、維持費はほとんどかかりません。
リード楽器ならリードが、弦楽器なら弦が必要ですが、フルートは楽器さえあれば大丈夫。
定期的に調整は必要とはいえ、普段費用が掛からないのは経済的ですよね。
まとめ
フルートが難しいと言われる理由を見てきました。
- 音を出すのが難しい
- 構えるのが難しい
- 指使いが難しい
- 息のコントロールが難しい
が挙げられましたね。
でも、それらは練習すれば乗り越えられるものです。
練習して技術を身に着け、演奏できるようになると、どんどん楽しくなっていきます。
やりたい曲に挑戦したり、他の楽器と一緒に演奏したり。
最初は大変ですが、どうか乗り越えてください。
きっと楽しいフルートLIFEが待っていますよ。
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