お正月の曲と言えば、新年のデパートでBGMにかけられている「春の海」ですね。
曲名は知らなくても、耳にしたことはあると思います。
尺八と筝(こと)で演奏されるこの曲は、フルートでも良く演奏されます。
吹いてみようかなと思ったあなたに、吹きこなすポイントをお伝えします!
- フルートで「春の海」を演奏するポイント
- 短いバージョンで「春の海」を演奏するには
- 「春の海」が掲載されている楽譜
フルートで演奏する際のポイント
「春の海」をフルートで演奏する際のポイントを見てみましょう。
息を多めに使って尺八っぽく吹く
フルートと同じ吹き方の尺八の曲ですから、ここは「フルートらしく」よりも「尺八らしく」吹いても面白そうです。
普段フルートを吹く際には、無駄な息をできるだけ使わないように音を作っていきますが、尺八っぽい音を出すには、少し多めに息を出してみましょう。
息の勢いもつけてみましょう。
いつもよりも多く息の量が必要ですので、息が続かず苦しくなってしまいますね。
ですので、1曲を通してこの吹き方をする必要はありません。
ここぞという時に使いましょう。
尺八の演奏を聴いてみると、多めに息を出しているな、と感じるのは
- ブレスの後
- 低音域
- スラーの始まり
のように感じます。
それも、すべてをやるとくどくなるかもしれませんので、自分でいろいろ試してみましょう。
もともとは尺八で演奏されたこの曲。
実は尺八はフルートと同じ仲間なのです。
和楽器がフルートと同じ仲間?と不思議に思いますよね。
尺八もフルートも、歌口を塞がずに息を穴の縁に当てて空気の流れを作って音を出す「エアリード」という吹き方をします。
尺八の方が、フルートよりも息が多く外に出ているような音がするので、フルートで尺八っぽく吹くには、息の量を多めにすることが必要なのです。
ビブラートの活用
長く伸ばす音にはビブラートをかけましょう。
フルートのビブラートは息の量や速さを調節してかけます。
簡単に言うと息を強く出す、弱く出す、強く出す、弱く出す・・・を繰り返します。
これは喉でする人と、胸~おなかを使ってする人、その両方を使ってする人の3種類あります。
自分に合った方法を使いましょう。
音の終わり方に気を遣う
音の終わりは、クレシェンドが書かれていないなら三角形の頂点を目指して細くなっていくデクレシェンドするイメージです。
決してぶちっと音が切れないようにしましょう。
伸ばす音だと指を動かすこともなく、油断しがちですが、ビブラートをしつつデクレシェンドをするには、しっかりお腹で支える必要があります。
普段の基礎練習から、腹式呼吸とお腹で支えることを意識してみましょう。
どんな楽器でもそうですが、口だけでは楽器を演奏できません。
正しい姿勢で楽器を構え、腹式呼吸を行い、しっかりとお腹で息を支え、体全体で演奏しましょう。
細かい音は焦らない
16分音符を見ると「速く演奏しなきゃ」と焦ってしまいますが、落ち着きましょう。
そんなにアップテンポの曲ではありません。
一つ一つの16分音符でとらえるのではなく、曲の流れの中でフレーズとして捉えて演奏してみましょう。
音の出だしでいきなり息を出すと、きれいな音にならないので、下記を試してみてください。
音を鳴らす2拍前には唇を「音を出せる状態にしておく」。
どういうことかと言うと、「ブレス(息を吸うこと)をしたらそのまますぐに音を出さない」ということです。
ブレスの後、「もう音が出る!」という口の形をキープしたまま、舌で蓋をしておくイメージです。
舌を離した瞬間に音が出るようにします。
この方法をとることで、音の出だしから確実に音が出ます。
ただ、練習が必要です。
毎回、基礎練習をする時に、
ブレスのたびに「もう音が出る!」という口の形をキープしたまま、舌で蓋をしておく
事をやってみてください。
高音は美しく
フルートで高音を出そうとすると、つい力が入って耳に痛く響くようなきつい音になってしまいがちです。
美しい高音を出すには
- 息を細く出す
- 息を速いスピードで出す
- 口に力を入れすぎない
- お腹から息を出す
ことが必要です。
唇が震えてブーブーという音が鳴ってしまうのは、口に力が入りすぎている証拠。
お腹でしっかり支えて息を出すことができれば、口にはそんなに力を入れなくても大丈夫ですよ。
装飾音符は音をしっかり鳴らすこと
小さく書かれている装飾音符が出てきます。
つい、「速く指を動かさなきゃ」と思いがちですが、出だしの音がきちんと音になってから動きましょう。
あまりに速く次の音に行ってしまうと、肝心の装飾音符が聞こえないことがあります。
ちゃんと鳴っているかどうか、自分の耳で聴きながら吹きましょう。
波の表現を想像しながら吹く
海には様々な表情があります。
波しぶきを上げる波や、凪いだ海、寄せては返す浜辺の波・・・。
ただ譜面を追うのではなく、「ここはどんな海かな?」と想像しながら吹くことで、より表現力が付いていくでしょう。
ちなみに「春の海」は作曲者の宮城道夫さんが、上京する際に船で旅をした瀬戸内海をイメージしたと言われています。
ここで特筆すべきは、宮城道夫さんはその時失明していたということ。
7歳の頃に失明したそうです。
つまり、「春の海」を演奏するときには作曲者が瀬戸内海の「音」などからイメージした曲、ということを念頭に置くと、表現の幅が広がりそうです。
お正月に聞くことの多い曲ですが、お正月とは関係がなく、日本的な情景を表現した曲のようです。
フルートで「春の海」を短いバージョンで吹くには?
「春の海」をフルバージョンで演奏すると、7~8分かかってしまいます。
結構長いですね。
じっと座って聞いていると、経験上、4分以上は長く感じます。
聞く人が子供だったり、あまりフルートに関心がない人も混じっている場合は、1曲に掛かる演奏時間は2~3分以内に収めた方が良いでしょう。
伴奏のCDに合わせて吹く場合は調整がしにくいですが、伴奏者がいる場合は相談の上、好きな箇所をピックアップすることができます。
私の場合は、ピアノの楽譜でいう最後の2ページだけを演奏することにしました。
フルートの楽譜では、冒頭と同じ譜面のところを探してみてくださいね。
これなら演奏時間が2~3分に短縮されますよ。
フルートで吹ける「春の海」が掲載されている楽譜は?
「春の海」の楽譜は、1曲だけで掲載されているものや、ネット上からプリントできる「ぷりんと楽譜」などがあります。
でも、フルートを長く続けていくなら、有名な曲がたくさん載っている『フルート名曲31選』がおすすめです。
ピアノ伴奏付がついているので、伴奏者がいる場合はとても活用できますよ。
伴奏者がいなくても、フルートソロとして自分で練習していても楽しい曲目となっています。
まとめ
お正月になるとそこかしこで聴く「春の海」を取り上げてみました。
初心者さんには少し難しい曲目ですが、基礎練習や腹式呼吸をしっかりこなせば吹けるようになりますよ。
最初は後半2~3分のみを演奏する短縮バージョンから練習しても良いですね。
ぜひ、楽しんで練習してみてくださいね。
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